画像検索から得られた「G House」のプロトタイプを工事費の見積り金額とともに発表したところ、「建てたい」というデベロッパーが現れた。敷地は東京の都心から電車で1時間ほどのとあるニュータウンの一角だった。30年にもわたる住宅地開発の最終局面で、変型敷地を有効活用したいということだった。
30年間このニュータウンで住宅を売り続けてきたベテラン担当者は、これまで消費者に寄り添うようにしてさまざまなスタイルの住宅を企画してきたが、今の若い世代は何が好みなのかさっぱりわからない、一度これまでやってきたことを考え直したいという。
「何をやったらいいかわからない」ときこそ、設計するに限る。まずは決めることのできそうなところから少しずつかたちに置き換える。まずは敷地面積から5棟のプロトタイプを並べることとし、その後サイズや部屋数を調整し、庭の配置、駐車場の配置、玄関へのアプローチなど検討項目を増やしていった。プロトタイプを生かしながら、独特の庭で敷地の特徴を生かした住宅地が出来上がった。
建築家として屋根、壁、床、天井、窓などの構成の検討を重ねて設計した「家の家」と、画像検索を用いた「白岡ニュータウンの家」を比べてみると、似ていないといえば似ていないが、似ているといえば似ている。要素がある程度共通しているから、違うといえば構造やディテールの繊細さなどであろうか。それらは私たち建築家にとっては重要な違いだが、他方で要素そのものを劇的に変えなければ新しい建築と認識されないかもしれないと危機感も感じた。
Project Date: 2016.08.04
所在地:埼玉県白岡市
竣工:2016年4月
用途:戸建住宅
構造:木造2階建(SE構法)
規模:5戸(当該街区)/240戸(リフレの杜)
最高の高さ:7,103mm~7,403mm
敷地面積:170.57 ㎡~246.79 ㎡
建築面積:53.00 ㎡~74.25 ㎡
延床面積:96.16 ㎡~131.77 ㎡
写真: 永井杏奈